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吉祥文様の意味で楽しむ南部鉄瓶の選び方

南部鉄瓶ひさご 紫

日本人は古くから縁起をかつぐことを大切にしてきました。

お正月には鯛やエビ、豆などを食べて来春を祝い、家のなかには招き猫やフクロウ(不苦労)を飾って幸福を願ってきたのです。このように暮らしのなかに縁起物を取り入れる文化が日本にはあります。

吉祥文も縁起物のひとつです。鶴や亀、松竹梅などのおめでたいモチーフで構成された絵柄を吉祥文と呼び、衣服に刺繍したり、暮らしの道具に彫ったりすることで、縁起を担ぎます。

そのモチーフは動物や植物、自然現象などさまざまです。種類も豊富で、それぞれに異なる意味や想いが込められています。

この記事では、そんな吉祥文の意味を解説するとともに、吉祥文が描かれた及富の鉄瓶をご紹介します。道具を選ぶときに意味や想いが込められれば、その道具により一層の愛着がわくもの。デザインモチーフの意味から鉄瓶を選んでみませんか。想いが込められた道具と生活をともにすることで、きっとより豊かな時間を過ごすことができますよ。

瓢(ひさご)

最近では「ひさご」というと、聞き馴染みがない方もいるかもしれません。「ひょうたん」のことをひさごといいます。丸々としたフォルムがかわいくみえ、無限大や末広がりを連想させることから、人気のある吉祥文です。

つるが伸びて鈴なりに実がなることや、実の形が妊婦さんに似ていることから子孫繁栄のご利益があるともいわれます。

三つひょうたんが揃えば「三拍子揃って縁起がよい」、六つひょうたんが揃えば「無病息災」といわれ、その語呂合わせからゲンを担がれることもあります。

及富の「南部鉄器 鉄瓶 ひさご」は、6つのひさごが描かれたデザイン。この鉄瓶で沸かした白湯を飲めば、鉄分補給も可能です。まさに「無病息災」の想いが込められているといえるでしょう。

食卓の真ん中にこのひさご鉄瓶があれば、健康を意識しながら生活できそうですね。頑張っている自分へのご褒美としてはもちろん、健康志向な方へのプレゼントとしてもおすすめの一品です。

蜻蛉(とんぼ)

力強く一直線に飛ぶ蜻蛉。その勇猛果敢な姿が武士の精神「不転退(退くに転ぜず)」と重なることから、刀の鍔・兜・陣羽織などの武具のデザインにも多く取り入れられてきました。

また、肉食性で害虫を食べる様子から勝虫(かちむし)とも呼ばれ、勝負事の縁起をかつぐモチーフとしても重用されてきた吉祥文です。

古事記では、雄略天皇の腕に噛みつこうとしたアブを蜻蛉がくわえて飛び去ったことから、蜻蛉の功績を天皇が歌によって讃えたと記されています。蜻蛉は古くは「あきづ」と呼ばれ、日本の形が蜻蛉に似ていたことから日本は「秋津島(あきづしま)」とも呼ばれていました。

そんな日本と関わりの深い蜻蛉は、豊穣の季節である秋を象徴する昆虫でもあります。そのつながりから、及富の「南部鉄器 鉄瓶 蜻蛉」には同じく豊穣を意味する稲穂も描かれていますよ。

及富の蜻蛉鉄瓶は、ほかの鉄瓶よりも少し丸みを帯びているのが特徴です。フランスのガラス工芸家 エミール・ガレのような柔らかでやさしい曲線をもつ蜻蛉鉄瓶を使えば、ホッとあたたかな気持ちでお茶を飲んでいただけるのではないでしょうか。

(まつ)

吉祥文として有名な松竹梅。そのなかでも松はもっとも壮麗なモチーフとして知られます。寒さ厳しい冬空のもとでも緑の葉を保つことや、樹齢が長いことから、長寿不老不死を象徴する神聖な樹として人々に愛されてきました。

「南部鉄器 鉄瓶 松葉」は、そんな松の葉っぱをモチーフに作られた鉄瓶です。松ぼっくりをかたどった摘みにもご注目ください。遊び心を感じませんか。松のモチーフは季節を問わず鉄瓶を使えるため、日常使いにも、客人のおもてなしにも使えるでしょう。

たとえば、この鉄瓶を使ってお茶を入れ、竹のお皿と梅羊羹を合わせれば、松竹梅がそろい、もてなされた方も喜ばれるのではないでしょうか。

(うめ)

寒い冬に花を咲かせ、春への兆しを表す梅。可憐な花の姿やその香りのよさから、日本で古くから親しまれてきました。

松・竹と合わせて松竹梅の吉祥文として描かれたり、鶯とともに早春をあらわすモチーフとして描かれたりします。

及富では、「南部鉄器 鉄瓶 しののめ」や「南部鉄器 鉄瓶 梅丸子」が梅モチーフの鉄瓶として作られています。「南部鉄器 鉄瓶 しののめ」は、春の訪れ・日が昇る東の雲・夜明けをイメージして作られた鉄瓶。「南部鉄器 鉄瓶 梅丸子」は、全体に梅があしらわれた鉄瓶です。

これらの鉄瓶を使えば、冬の寒さに耐えて花を咲かせる力強い梅の姿を思い出して前向きになれそうですね。

まとめ

このように及富には、縁起物をデザインした鉄瓶を数多く取り揃えています。モチーフのある道具は、その道具を選んだエピソードが面白かったり、ほかの道具との取り合わせを工夫しやすかったりすることから、おもてなしでも大活躍しますよ。ぜひチェックしてみてください。

出典・参考
二代長野垤志著『茶の湯釜 その歴史と鑑賞』発行所:株式会社宮帯出版社 2017年7月28日 第1刷発行
文様のふ・し・ぎ 12 瓢 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)
https://www.president.co.jp/nanaoh/article/column/1085/2260/
縁起の良い昆虫 蜻蛉34|デザイナーズ インスピレーションDesigner’s Inspiration https://www.kyolite.co.jp/katagami/dragonfly.php
蜻蛉模様刺繍 陣羽織|文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/223138
蜻蛉模様刺繍陣羽織|女子美術大学美術館 収蔵品データベース https://jmapps.ne.jp/jam/det.html?data_id=772
阿岐豆野(その1) – 國學院大學 古事記学センターウェブサイトhttp://kojiki.kokugakuin.ac.jp/chimei/akizuno/

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