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やかんを買うなら南部鉄器がおすすめ!人気の理由と選び方を解説

やかんとおすすめの南部鉄器の鉄瓶

新しくやかんを購入するにあたり、南部鉄器を検討している方もいらっしゃるかもしれません。南部鉄器のやかんは「南部鉄瓶」と呼ばれ、国内外を問わず人気があります。この記事では南部鉄瓶の購入を検討している人に向けて、その魅力をあらためて紹介したいと思います。

南部鉄器のやかん「南部鉄瓶」とは

お湯を沸かすときに使う鉄製のやかんのことを「鉄瓶」といいます。鉄瓶は各地で作られていますが、そのなかでも代名詞的な存在が「南部鉄瓶」です。

南部鉄瓶とは、岩手県盛岡市および奥州市周辺でつくられている伝統工芸品「南部鉄器」のやかんのこと。鉄器ならではの重厚感、日本の風情を感じさせる独特の風合いや美しさといった魅力にくわえ、熱が均一に伝わりやすい・保温性に優れているなど、機能的な特長もあります。

ちなみに、「鉄瓶」とよく間違えられるものに「鉄急須」がありますが、これらはまったく別物です。鉄瓶はお湯を沸かすための道具ですが、鉄急須はお湯を沸かすのでなくお茶をいれるための道具です。そのため鉄急須を直火やIHにかけることはできません。どちらも使う場合は、鉄瓶を使ってお湯を沸かしたあと、鉄急須を使ってお茶をいれるという流れになります。

南部鉄瓶の特徴

鉄で作られた「南部鉄瓶」と、他の素材でつくられたやかんでは、沸かしたお湯に違いがあります。南部鉄瓶で沸かしたお湯の主な特徴は、以下のふたつです。

味がまろやかになる

ひとつめは、お湯の味がまろやかで甘く感じられるということです。ステンレスやホーローのやかんでも数分間お湯を沸騰させることで、塩素(カルキ)臭を取り除くことは可能ですが、南部鉄瓶を使うと内部から鉄イオンが溶け出し、残留塩素と反応することで塩素をより早く分解してくれることが静岡県お茶と水研究会の研究により分かっています。 南部鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな味わいになり、後述の鉄分の溶出もあり甘くて飲みやすい水質に変化します。

体に吸収されやすい鉄分の補給ができる

ふたつめは、溶け出す鉄分(鉄イオン)が体に吸収され、健康効果が期待できるということです。鉄分には「体に吸収されやすい鉄分 (二価鉄)」と、「体に吸収されにくい鉄分 (三価鉄)」の2種類ありますが、南部鉄器から溶け出すのは前者の二価鉄。

このため、南部鉄瓶は貧血になりがちな女性にもおすすめだといわれています。毎朝、南部鉄瓶で沸かして作った白湯を飲むことで、貧血解消効果も期待できるでしょう。

ただし、鉄瓶の内部がガラス質の琺瑯(ホーロー)加工が施されている製品は、鉄分が溶出しませんので購入時に注意をしてください。鉄分補給を目的とした効果や購入時の注意点などはこちらの記事をご覧ください。

南部鉄瓶の伝統文様

南部鉄瓶の表面にはさまざまな文様が施されていますが、その代表的な意匠は、「霰(あられ)」と呼ばれる小さな丸い突起があしらわれている「あられ文様」です。諸説ありますが、このあられは大仏の特徴的な頭髪である螺髪(らほつ)からきているという説もあります。この「あられ文様」は単にデザイン性を高めるだけでなく、鉄瓶の厚み増やして蓄熱性を向上させて保温効果を高めるという役割も果たしています。

他にも、馬や龍・鶴亀といった動物が描かれた「動物文様」、花をはじめとする植物が描かれた「植物文様」など、さまざまな文様があります。

正規の南部鉄瓶は1万円前後から購入できる

「南部鉄器のやかんが欲しい」と考えているかたは、やはり価格も気になるかと思います。高価なイメージがあるかもしれませんが、1万円前後から購入可能です。

最近ではオンラインモールやオークションなどで2〜3千円から買える鉄瓶も存在しています。しかし、「南部鉄器」と称していますが、残念ながらこれらの多くは岩手県で作られた南部鉄器ではなく、海外製の模倣品です。本物の南部鉄瓶を購入したい場合は以下のことに気をつけて購入をしてださい。

  • ・価格が相場と大幅に乖離していないか
  • ・商品説明や問い合わせ・レビュー対応の日本語に違和感ないか
  • ・販売者・出品者の所在地が海外でないか
  • ・「メーカー・ブランド名」をインターネットで検索してもホームページが存在しないか

丈夫で長持ち! 使い込むほど愛着がわく

南部鉄瓶の特長として忘れてはならないのが、その丈夫さです。茶の湯と共に発展した盛岡に対し水沢の鉄器は鍋や釜といった「日々の生活に必要とする品」いわゆる民藝品として愛されてきました。そのため優れた装飾だけでなく、機能的で丈夫で長持ちすることも特徴です。「南部鉄器は100年使える」といわれており、実際に及富の鉄瓶を親子3代にわたって使っていただいているお客様の声もいただいています。

実は手間いらず南部鉄瓶の使い方

鉄瓶を錆び(さび)させてしまうのではないかと購入をためらっている方も多いと思います。しかし、実際には鉄瓶は日用品ですのでお手入れも簡単です。

お湯を沸かす際は、使う分だけ水を入れて沸かし、使い切るか、残ったお湯は別の容器に移すなどしてください。そのあとは蓋をはずして予熱で乾燥させることで錆びを防ぐことができます。内部や蓋の周りに水分を残しておくと錆びの原因になります。

また鉄瓶を使い始めてしばらく経つと、内側に白い付着物が見られることもあります。これは水道水に含まれるカルシウムなどが付着した「湯垢」と呼ばれるもの。湯垢にはお湯をまろやかにしてくれる効果や錆び止め効果があるため、触ったり取り除いたりせずそのままにしておきましょう。

鉄瓶を使い込むほど湯垢が育ち、よりまろやかなお湯が沸かせるようになります。

錆びても大丈夫!緑茶で簡単メンテナンス

伝統的な南部鉄瓶は、「型」から外したあとに800度以上の高温で再度加熱する「釜焼き」と呼ばれる技法をもちいます。鉄瓶の表面に酸化皮膜という薄い膜をつくりだすことで錆び止めの効果を発揮させるものです。

錆びにくい南部鉄瓶ですが、環境によりやはり錆びが生じます。錆びは人体には無害ですので過度に気にする必要はありませんが、お湯が茶色になったり、金気臭が気になる場合は、緑茶を入れて煮出すことで簡単にメンテナンスすることができます。お茶に含まれるタンニンが赤錆びと反応することで水色も金気臭もなくなります。

実際に動画で解説していますので参考としてください。

以下のリンク(オンラインショップ)から、私達、岩手県奥州市に位置する南部鉄器工房及富の鉄分補給のできるおすすめ製品を多数ご紹介していますので、是非この機会にご覧ください。

出典・参考
静岡県お茶と水研究会, 事務局 大学産業株式会社, 静岡新聞 1999年9月8日
調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化, 今野暁子, 及川桂子, 日本調理科学会誌/36巻 (2003)1号

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